短期間の旅行でオーロラを高確率で見る方法を考える(2)

地球大気の組成

どうやら地球の大気はどこでも一定ではなく、地表からの高度とともに変化するようだ。酸素Oと窒素Nは分子量が異なる。酸素は原子番号16、窒素は原子番号7なので、窒素よりも酸素が質量が大きい。大気は地球の重力で惑星表面に保持されているので、当然重い酸素が地表に向かって大きな力を受ける。つまり、地表に近いほど酸素濃度が高くなる。高い山に登ると酸素濃度が下がることから、このことが実感出来る。

つまり、太陽風が地表に近いところまで到達すればするほど酸素の発光の割合が増加すると言うことになるので、オーロラの色合いは太陽風の到達高度で微妙に変わってくると言うことが分かる。 

オーロラは地球の大気圏の内、熱圏(Thermosphere)と呼ばれる領域に発生し、高度では80km以上(80〜800km)の領域になる。この領域では窒素の含有量が多いらしい。つまり、基本的にはオーロラの光は主に窒素由来ということになる。

大気の電離(窒素の場合)

大気に太陽風(荷電粒子、放射線)が作用して大気分子の主成分である窒素分子にエネルギーを与え、プラスに帯電したイオン(この場合、例えばN2+)とマイナスに帯電した電子(e-)に分離する。これが電離と呼ばれる状態であり、この状態をプラズマと言う。窒素分子をイオンにするために必要なエネルギーは14.5eV(1.602-19ジュール)らしい。イオンは不安定(窒素分子よりも高いエネルギーの状態)だから、電子と再度くっついて元の安定な状態に戻る。高いエネルギーの状態から安定な低いエネルギーの状態に変わるわけなので、安定な状態に戻る際にはエネルギーを放出しなければいけない。この余計なエネルギーが光という形で放出される。これが大気の発光現象で、オーロラもこんな理屈では無いだろうか。というのもオーロラの発生についてはまだまだわからないことも多いようなので、確実にこうだと言いにくいものらしい。

(3)に続く