ウクライナ旅行[100] パスポートを紛失した際の対応方法 ウクライナ旅行で実際体験して判った問題点・予防策

私は今回のウクライナ旅行でパスポートを紛失してしまい、その為、その対応で観光日数を1日無駄に浪費してしまいました。この記事では私がパスポートを無くした後、どのようなことになったかをご紹介し、今後、皆さんが万が一同じような事態に陥った際にどうすれば良いか、そして、慌てないためにどのような準備をしておけば良いのか書いていきたいと思います。因みに、大体ですが私の海外渡航回数は40回程度だと思いますが、今回、初めてミスを犯してしまいました。

 

1. 単なる知識と現実は異なる

パスポートを紛失した際にどうすれば良いかについての情報はネット上に幾つも見つけることが出来ますし、外務省のホームページにも詳細に書かれています。こういう情報を知ることは当然ですが、現実には色々と難しいと言うか厄介な問題が起こります。

2. 紛失理由

普段出かける際に持って行かない財布が何故か肩掛けバッグに入っていたので、公園でバッグの中からカメラを取り出す際、落としたことに気が付かなかったんです。因みに、肩掛けバッグはロングコートの下に掛けていたので、外からは絶対にとられません。逆にバッグから財布が落ちても分かりにくかったんですね。今考えると。また、座っていた高さも低かったので音もしなかったんです。と言う訳で無くなったことにはホテルに帰るまで気が付かなかったんです。帰る際は遠ければUBER、近ければ地下鉄で帰りますが、UBERは携帯があれば乗れますし、地下鉄は地下鉄のカードが有れば乗れますから、現金はいらないんです。

3. パスポート紛失・再発行に必要な書類・発給に要する時間

パスポートが無いと勿論帰国できないわけです。しかし、そういう事態の為に、渡航証というものがあって、それを日本大使館で発給して貰えば帰国することが出来ます。ですから、帰国に関しては過度な心配は必要は有りません。新しいパスポートの発給を受けることも出来ますが時間がかかるので渡航証の発給を受けるのが現実的です。

4. 再発行に必要な書類

以下、2つのケースに分けて発給に必要なものを説明しますが、両者共に必要な書類が有ります。

  1. 紛失一般旅券等届出書 1通 (「ダウンロード申請書」又は手書き書式)
  2. 警察署の発行した紛失届出を立証する書類又は消防署等の発行した罹災証明書等
  3. 写真(縦45mm×横35mm)1葉
  4. その他参考となる書類(必要に応じ,本人確認,滞在資格を確認できるもの)
  • パスポート発給
  1. 一般旅券発給申請書(10年用又は5年用) 1通
  2. 戸籍謄本又は抄本(原本を必要とします) 1通
  3. 写真(縦45mm×横35mm)1葉
  1. 渡航書発給申請書 1通
  2. 戸籍謄本又は抄本(原本を必要とします)1通 又は日本国籍があることを確認できる書類
  3. 写真(縦45mm×横35mm)1葉
  4. その他帰国日程等が確認できる書類

5. 発給に必要な日数

パスポートは一週間は必要ですが、渡航証は申請当日あるいは翌日に発給されることが多いです。旅行期間が一週間程度の場合は必要書類が揃っていてもパスポートの再発行は時間的に無理です。必然的に渡航証を申請する以外に手は有りません。

6. 渡航証の申請書類

以下に渡航証に絞って必要書類について見ていきます。これらの書類を揃えるのは実は意外と簡単では有りません。実際の体験談を基に説明します。

(1)「紛失一般旅券等届出書」は大使館で貰えます。

(2)問題は「警察署の発行した紛失届出を立証する書類」です。

この書類を手に入れるのは実は非常に難しいです。私は先ず、ネットでキエフ市内の警察署を調べ、比較的大きな警察署を選びました。この過程で、宿泊しているホテルのフロントの女性にもアドバイスをもらいました。決定した警察署にUBERで行きました。

キエフの警察署は用件を言って、受付で身分証明をしなければ中に入れませんでした。パスポートが無ければ中に入れてもらえない訳です。そこで、窓口越しに「パスポートを紛失したので、紛失したことを届けた書類を作って欲しい」と言うと、「そう言う書類は短時間では作れない。少なくとも一週間はかかるし、貴方が英語が話せるのは判ったが、ウクライナ語が話せるオフィシャルな人を連れてきて貰わないと難しい。」と言われてしまいました。

この書類は時間が掛かる上に、言葉の問題等が有り極めてハードルが高いと言えるでしょう。また、時間がかかるので実質的に短時間で手に入れるのは不可能です。他の国ではどうか判りかねますが、警察に行っても短時間で入手できない紛失届を貰いに行くので有れば、日本大使館に連絡してどうすれば良いか相談した方が良いです。但し、日本大使館に電話しても日本人が電話に出てこないので、(1)英語が分かる人に代わってもらい、その人に日本語の分かる人に出て貰うように頼むか、(2)英語の話せるホテルのフロントの人に事情を話して、現地語で日本大使館に電話して貰い、日本語の分かる人(日本人職員)に出て貰う方が早いでしょう。

(3)写真(縦45mm×横35mm、1葉)

写真も問題です。海外では日本のように駅周辺、カメラ店などで普通に見かける箱型のスピード証明写真機はなかなか有りません。私の場合、パスポート問題が解決した後になって、偶然、キエフ市内でそのような証明写真機を1カ所だけ見つけることが出来ましたが、それ以降、広いキエフ市内では見たことが有りません。私は結局、GOOGLEで写真館を見つけて行くことにしました。写真はデジカメで撮ってもらいましたが、プリントは写真用の光沢紙にプリンターで印刷したものでした。この種の写真は通常の写真プリントとは異なっていますので、受理されるか心配しなければなりません。更に、単に「パスポート写真を撮って下さい」と言っては駄目です。国によってパスポート用写真の規格が異なるからです。確実に写真のサイズを伝えないといけません。キエフでは日本と同様、4枚1組の写真をくれました。価格は800円くらいでした。

対策はパスポート写真を持って行くことに尽きると思います。時間の大幅な節約になります。

(4)戸籍謄本又は抄本(原本、1通)又は日本国籍があることを確認できる書類

戸籍謄本・抄本は日本から取り寄せ無ければならないので、時間的に厳しい場合が多いでしょう。そこで、日本国籍があることを確認できる書類」の方が遥かにハードルが低いです。「運転免許証」等がこれに当たりますが、本籍が確認できる書類がベストのようです。「マイナンバーカード或いはマイナンバー通知書」も使えるかもしれません。私は、無くすと困るので運転免許証は海外には持って行きません。

この条件をクリアする最も有効な対策は免許証、マイナンバー通知書(カード)、パスポートの3つを一緒にしてカラーコピーを取って旅行に持っていくことだと思います。万全を期すので有れば、戸籍謄本(抄本)も持っていくと良いでしょう。

つまり、これらの書類を一纏めにして書類用のジッパー付きの薄いプラスチックバッグに入れて、旅行バッグに入れておけば完璧です。写真だけは6ヶ月以内に撮影したものと有りますので、旅行前に撮影しておくと良いと思います。緊急時で有れば、一年程度経っていても問題ないとは思いますが。

これらの書類が無ければ、日本大使館に連絡するか、直接、日本大使館に行って相談する方が早いです。但し、いかなる場合でも写真は必須なので、もし写真が無ければ現地で撮影するしか有りません。

 
(5)その他参考となる書類(必要に応じ,本人確認,滞在資格を確認できるもの)

これは上記の書類があれば問題ありません。 

7. 日本大使館について

f:id:zeitrium-editor:20191117222623j:plain

ウクライナ日本大使館キエフ

海外で初めて日本大使館に行きました。ウクライナでは日本大使館キエフにありますから、キエフに居てラッキーです。他の都市に居れば、キエフまで行かないといけません。

場所は国立美術館の斜め前でわかりやすい場所に有ります。また、独立広場から徒歩圏内なので、地下鉄の独立広場で降りれば良いです。建物は4階建てです。入り口に案内係のウクライナ人女性が座っています。英語で要件を言うと、何階か教えてくれます。案内板も有りますが、ウクライナ語表記のみです。因みに、バスポート関係は4階です。

エレベーターで4階に上がると、受付係の男性が居ます。困った事にこの男性は英語が分からないウクライナ人でした。バスポートを無くしたと言っても理解できないのです。2回説明しましたが、分かってもらえません。彼は大使館の男性職員を呼びに行きました。その人は英語が分かる人で、ようやく用件を伝えることができました。

彼は、4階の左側の窓口に居るウクライナ人女性にウクライナ語で何かを伝達しました。そして暫く待っていると、その窓口の横のドアからようやく日本人職員の方が出てきてくれました。その方は、私に「お名前は何ですか?」と聞いてきました。名前を聞いたあと「一応確認しました。パスポートはこちらに届いております」と笑顔で言ってくれました。今回は無事パスポートが戻ってきましたが、非常に多くのことを学びました。

ウクライナ人しか居ないのは考えてみれば当たり前です。キエフ日本大使館に来る人は基本、日本に行くビザの発給を受けたいウクライナ人だけです。日本人の職員を雇っても仕事になりません。私が行った時も待合室に20人位居たのですが、全員ウクライナ人と思われる人で、勿論日本人はドジな私だけでした。

つまり、日本大使館に行く場合には少なくとも英語で事情が説明するか、日本人職員と話したいと言うことを伝える必要が有ります。受付の人も誰も日本語は分かりません。

8. 旅レジについて

外務省が推奨している「旅レジ」と言うのをご存知でしょうか?海外旅行に行く際に、基本情報を登録しておくものですが、登録しておけば現地の安全に関する情報などをメールで教えてくれるシステムです。登録情報は下記の通りです。この情報を登録しておくことで、大使館での本人確認作業がより簡単に進むと考えられます。また、登録情報を後で変更することもできるので、渡航先でその国の電話番号を登録すれば、大使館からの電話も受けられるようになります。また、登録情報は「旅行終了から30日を経過した時点で、統計情報として集計(個人情報は消去)した後に削除します」と書かれていますので、安心して利用出来ます。

氏名、生年月日、電話番号(複数)、メールアドレス(複数)、同行者情報(複数)(5氏名、6電話番号)、ツアー会社、同行者数、渡航先情報(複数)(渡航先国・地域、都市、滞在期間)

9. まとめ

1) パスポートを無くした場合

あなたが現在パスポートを無くして困っている場合、以下のようにされるのが良いと思います。

  • 先ず、日本大使館の所在地を調べます。ホテルのフロントに事情を話し、日本大使館に連絡し、日本人職員に電話に出て貰います。事情を説明し、大使館職員の指示に従います。
  • 前述のように写真は必須なので、滞在している都市で撮影するか、日本大使館の人に聞いて、大使館所在地で写真撮影可能であれば、そちらで撮影しても良いでしょう。多くの場合、大使館がある都市は首都ですから写真撮影しやすいと思います。
  • 貴方が滞在している都市に日本大使館が無ければ、日本大使館のある都市に移動しなければなりません。移動が必要な場合には、今宿泊しているホテルはそのままにして、荷物はホテルに置いて置きましょう。遠い場合は飛行機で、近い場合は電車で移動します。
  • 写真を持っていれば持って行って下さい。
  • 帰国日が分かる航空券のe-ticketを印刷したものか、携帯に届いたメール(PDF)を見せる必要があると思いますので、準備しておきましょう。
  • パスポートのコピーがあれば併せて持参しましょう。

2) パスポートを無くしても慌てないようにするには

下記書類を準備しておきます。

  • 免許証、マイナンバー通知書(カード)、パスポートのカラーコピー
  • 出来れば戸籍謄本(抄本)
  • 写真2枚(縦45mm×横35mm)
  • 航空券、e-ticketの控え、携帯に届いているPDFなど

更に外務省のたびレジに登録しておきましょう。

 

本記事が少しでも参考になれば幸いです。

10. 関連記事


本ブログの文章及び写真の著作権は本サイトwww.beta-centauri.siteに帰属し、これらの無断転載及び無断利用を禁じます。お問い合わせ、コメント、ご質問等ありましたら、zeitrium@gmail.comまでお願い致します。